2021/05/17(月)感染力の高い変異株に対する防疫は大変厳しい

8割おじさんが(感染しうる)人出の数を8割減らそうという話をしていたときの計算を、覚えているだろうか。

新型コロナの基本再生産数R0が2.5の時、(感染しうる)人の数が6割減った時、実効再生産数Rtは、2.5*(1-0.6)=1と計算され、この時感染者数は増えも減りもしない状況になるという話だった。そして、実効的に感染者を減らすためには2割余裕を見て「8割」減を目指すという流れで「8割」という数字になった。

で、ワクチン接種(分かりやすいように有効率100%とする)が進んで人口の6割の(2回目)接種が終わると、やはり Rt=2.5*(1-0.6)=1 となることが見込まれ、まずは感染者数が増えなくなる人口の6割接種が目標になるはずだった。が、現状は変異株の出現でヤバいことになっている。

流行中の変異株は、感染性が旧来株より高く、およそ1.3倍ぐらいではないかという話が出ている。さらに変異株は、ワクチンの有効性が低いかもしれないと言われているが、ここではそれは無視して、有効率は相変わらず100%だと緩めに見たとしても、状況は大変なことになっている。

実効再生産数Rtが1になるまでワクチン接種をすることを目標に設定するとして、人口の何割に接種が必要か?変異株の基本再生産数R0'は1.3*2.5=3.25になってしまっている。この時Rtについて試行計算すると、 Rt=3.25*(1-0.692…)=1 となるから、人口の 69.2%≒7割にワクチン接種が終わらないと、感染者の増加は止まらないことになる(外出自粛要請をしてなければ)。

そして、実効的に感染者を減らすためには2割余裕を見なければならないのであれば、ワクチン接種が人口の9割に達しなければ「外出自粛要請は止められない」ということになる。もしも変異株に対するワクチンの効果が、100%よりも小さくなっていれば、状況はさらに厳しい。

感染力の強い変異株への対応策がいかに困難か、上の話から分かるだろう。