2012/03/27(火)名誉毀損喧伝を助長するシステム

話題の発端は
ある男性が、グーグルで自分の名前を打ち込むと、身に覚えのない犯罪行為を連想させる単語がサジェスト機能によって表示されるというのです。

男性は職場にいられなくなり、退職に追い込まれ、その後も採用を断られたりすることが続いているということです。
グーグル検索“人権侵害”の波紋
の話。
私は
サイト側のほうが悪いので、サイトを訴え続けるほうが正しいと思う。サジェストを消したところで被害者は救済されないので、あまり意味がないのでは・・・。
http://b.hatena.ne.jp/kensuu/20120325#bookmark-86755877

男性はグーグルに表示を止めるよう申し入れましたが、受け入れられなかったということで、男性は去年10月、東京地方裁判所に表示の削除を求める仮処分を申請しました。
そして、裁判所はこの申請を認め、表示の削除を命じる決定を出したのです。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/0326.html
で済ますでなく、グーグルもその構造を変えるべきではないかと思う

が、その方向性が未だ見出せない。
http://twitter.com/akof/status/184500917557661696
というツイッターでの呟きまでが私の前フリ。


小飼 弾さんも、
そろそろGoogleは、みずからに科したこの呪文を発展的に解消すべきなのではないか。
不都合な検索結果 - I'm feeling unlucky
と言うに留まり、具体的な解決方向までは示せていない様子。

ここでは、問題の構造を整理しなおしておくことにしよう。

ウィキペディアにしてもはてなキーワードにしても、グーグルサジェスチョンにしても類似する構造と論理があって、かつては
「自組織」が編集したのではなく、不特定多数の手によって創られるコンテンツが集積されてるだけだから、そこに名誉毀損的内容が現れても自組織の責任ではない
という立場でいられた。

しかし、自動集積の特性を知って、
不特定多数になりすませば、特定の名誉毀損的内容を意図どおりにシステムに掲載させられる
という事実が知られてしまい、その自動集積ツール自体を名用毀損的内容の喧伝ツールとして使われるようになれば、「名誉毀損的内容とシステムとは無関係」という主張はもはや通じないようになると考えてよいだろう。

既にウィキペディアは「名誉毀損的内容」が掲載されにくいよう、改善を試みている(相当に人海戦術的ではあるようだが、一定成果は挙げていて、責任回避はできる程度に見える)

はてなとグーグルは今のところ知らぬ存ぜぬを通すつもりらしい。
この先、会社の決算に影響しかねないほどの高額賠償の敗訴を食らうのが先か、自身を改める方向を見出すのが先か、私は注目したい。

2012/03/21(水)割れ窓と笑い

割れ窓理論はちょっと・・。元論文読んだ?実際の治安に変化はないが、市民が、治安が「良くなったと感じる」からホームレスを排除しよう。っていう論文だぜ、あれ。
http://twitter.com/IZUMI162i6/status/182318701851320320
意識の上で「割れ窓」の存在を考え、それの対処を考えてる人が、注目している「割れ窓」そのものの価値を否定する話をされると、不愉快に感じるだろう。人によっては激怒するし、不謹慎だと非難する人もあるだろう。いずれにしても、それまでの視点を変えて、違う価値観での考え方に取り組む人は極めて少ないだろう。
  • 人を居なくする
  • 窓をなくす
  • 窓を(投石等が)届かないようにする
  • 窓を割った者の追跡性を100%にする
  • 窓を割れない材質に変える
  • 窓が割れても直ちに修復されるようにする
  • 窓を割るより悪いことを窓を割るより実行されにくい状況を作る
……これが「割れ窓理論のことを考える」こと。
http://twitter.com/akof/status/109451599457419264

社会秩序の信頼度を高めることを意識上のものとして、割れ窓理論を考えている人に、「人を居なくする」の解を示す。うまくすれば、笑わせられる。そして、自分のそれまでの狭い視野について改善を試みようとする人も多少は現れることがある。考えているテーマに関して、無意識的な前提となっているところを否定すると、(うまい具合にやれば、)虚をつかれて笑いに繋がることがある。


人の生死に関わる問題に対して、狭量な視点から「ルール」を標榜しようとしている人に、「そのルールは本質的な効果はないのでは?」と指摘すると、憤激し、不謹慎レッテルを貼ろうとするだけで、考え方を変えることはあまりない。しかし「人の生死」から考えの荷重が「ルールの徹底」に移って、「人の生」が無意識的な前提になった時に、「いっぱい殺せばそのルール徹底されるよね」という具合に虚を突くことができると、「笑い」を呼び起こし、そして視点を変える切っ掛けとすることができる場合もある。

「ワシントンD.C.のホワイトハウスの前で『くたばれ、レーガン!』って叫んでも罰せられないのと全く同じように、モスクワの赤の広場の前で 『くたばれ、レーガン!』って叫んでも罰せられません。」
日本の公序良俗とやらで見るとどうなんだろ。あるいは、「割れ窓」なんだろうか。
http://twitter.com/akof/status/3821129052
「くたばれ、レーガン」と効果的に叫んでみようか。レーガン元大統領の警護を要請する業務を強いられたとして、威力業務妨害に問われるだろう。

2012/03/14(水)「真実」と「嘘」の狭間

敬愛するふっしーさん(藤野英人さん)の 「時事通信と共同通信が正反対の「事実」を報道。東電OL殺人事件のDNA鑑定の報道から、マスコミやソーシャルメディアの「情報」との接し方を学ぶ」という記事に、本ブログを紹介いただいた。恐縮しきりだ。

まだブロガーを名乗れるほどのコンテンツはないが、これから充実させていきたいというところ。


さて、本ブログをご紹介いただいた記事の後半に興味深いパズルが掲載されている。一応正面から取り組むと、一例としてこういう思考過程が可能だろうか。

① (仮定Ⅰ)Bが白と仮定する⇒②「 Bのみが白でACDEが赤」が真実⇒③ 赤のACDは嘘を言っているはず⇒④ Aからみて「白が一人で赤が3人だ」は真実でありAは嘘をいっていない⇒⑤ ③④は矛盾しており仮定Ⅰ(B白)は正しくない

①' Bは赤⇒②' ACDEの1人以上が白⇒③' (仮定Ⅱ)Cを白と仮定⇒④' Cの「4人とも赤だ」は真実⇒⑤' Cが白でABDEが赤⇒⑥' Aからみて「白が一人で赤が3人だ」は真実でありAは嘘をいっていない⇒⑦' 真実を言うAは白⇒⑧' ⑤'⑦'は矛盾しており仮定Ⅱ(C白)は正しくない

③'' Cは赤⇒④'' BCが赤なのに「白が3人で赤が1人だ」と言うDは嘘⇒⑤'' (BC)Dは赤⇒⑥''(仮定Ⅲ)Eが赤と仮定⇒⑦'' Aからみて「白が一人で赤が3人だ」は嘘なのでAは赤⇒⑧'' 全員が赤⇒⑨'' Cの「4人とも赤だ」は真実になり、Cは白⇒⑩'' ⑧''⑨''は矛盾しており仮定Ⅲ(E赤)は正しくない

⑥''' Eが白(①'B赤、③''C赤、⑤''D赤)⇒⑦''' Aの「白が一人で赤が3人だ」は真実なのでAは白⇒⑧''' AEが白(本当の事を言う)、BCDが赤(嘘を言う)で与えられた問題内容に矛盾しない

これでふっしーさんのいう、「答えは2のAとEです」に辿り着ける。

しかし、この問題文をよくよく見ると、実は「白の帽子を被っている人は本当の事を言う」という条件は書かれていない。また選択肢に示された人物以外が白の帽子を被ってないとする条件も無い。

そこで、問題文に書かれてはいない暗黙条件を外して改めて考え直してみる。すると答えは一意には定まらず、
  • ACDが白、BEが赤のような場合、「1. A,Cが白」は成立
  • BCが白、ADEが赤のような場合、「3. B,Cが白」は成立
  • BDが白、ACEが赤のような場合、「4. B,Dが白」は成立
  • DEが白、ABCが赤のような場合、「5. D,Eが白」は成立
となると思う。

ふっしーさん(@fu4)の「答えは2のAとEです」は確かに嘘ではない。
が、他には答えがないとも言ってない。

「真実」と「嘘」の間に、多くの「答え」がある。