2012/04/25(水)妄想近未来『電力』ニュース

太陽光発電.jpg

【妄想近未来『電力』ニュース】

昨日の昼頃起こりました一般家屋火災の続報が入って参りました。まず、消防の調べによると、昨夜までの発表では火災の原因は漏電ということでしたが、今日になって新たな事実が判明しました。

当初の現場検証では、太陽光発電の売電用のメーター付近が最もよく燃えていることから、太陽光発電パワーコンディショナーなどからの漏電が疑われていました。しかし、詳しい調べでは屋根上に設置されていたのは、太陽電池モジュールの模型で、実際は黒く着色されたプラッチック板であることが明らかとなりました。

実際には太陽光で発電は行われておらず、密かに一般電力線から売電用メーターへ電力が引きこまれており、電力会社からの安い電力を取り入れ、太陽光発電した電力として高額で売電されていた実態が明らかになりました。

警察の調べによりますと、この家屋の住人達は、太陽電池パネルが偽物で、一般電力線から密かに電力を取り込まれていたことに知らなかったと主張しているとのことで、不当に「太陽発電電力の売電」で利益を得たことについて否認しているとのころです。住人達はまた、「太陽電池システムを購入した当時は、本物の太陽電池モジュールが設置されていた」と主張しているとです。

そのことから、警察では、太陽電池システム納入業者が、一度収めた太陽電池モジュールを密かに偽物のプラスチック板にすり替え、太陽電池モジュールを高額で転売していたものと見ています。この家屋にシステムを納入した業者は既に解散後で、当時の経営者や工事担当者とは連絡がつかないとのことで、警察では計画的な詐欺事件の疑いもあるとみて捜査を進めています。
同じ「電力」を、「どうやって発電したか」で違う価格付けをするというのは極めてナンセンス。電力としては発電方式に関わらず同じ価格で買取るべきだ。

一方で「安全性」の違いの考慮については、保険加入を義務付けるなどして均衡を図るなどの方法が考えられる。
7月に始まる太陽光など再生可能エネルギーの全量買い取り制度の詳細を議論していた経済産業省の「調達価格等算定委員会」(委員長=植田和弘京都大学教授)は25日に開いた会合で、電力会社による電気の買い取り価格案を議論した。最終的な結論は持ち越したが、植田委員長が会合終了後に記者会見して委員長案を公表。太陽光発電は1キロワット時あたり税込みで42円(出力10キロワット以上)。風力は同23.1円(出力20キロワット以上)とした。

<略>

委員長案では、地熱発電は1キロワット時あたり税込みで27.3円(出力1.5万キロワット以上)、中小水力は同25.2円(出力1000キロワット以上、3万キロワット未満)。バイオマス(生物資源)は種類別に定め、リサイクル木材の場合で同13.65円とした。

 買い取り期間は地熱発電を15年、それ以外は20年にした。住宅用の太陽光発電は全量買い取り方式ではなく、余った分だけを買い取る現行の「余剰電力買い取り制度」を維持する。
参照:太陽光42円・風力23.1円 再生エネ買い取り価格案 2012/4/25 12:52

2012/04/13(金)リモコンのデザイン

カメラのイラスト.JPG

67個のボタン、継ぎ足されて、さらに25個のボタン。合計92個のボタン。

別に、飛行機を飛ばしたいわけではない。
単に、テレビ番組を録画したいだけである……。
「ガラパゴスリモコン」が示す日本のもの作りの限界~リモコンで飛行機でも飛ばしたいの?~
という記事に触発されて。

思考実験の題材として、昔の一眼レフカメラを遠隔操作できるようにするリモコンを考えてみよう。

まず、
  • 1.レンズキャップの付け外しボタンが要る。
(こら、笑うな!)
  • 2.フィルム換装ボタン
  • 3.フィルム開始位置までの巻上げボタン、フィルム送りボタン、フィルム最終巻取りボタン
  • 4.照度計(照度計の位置・方向設定)
  • 5.フラッシュバルブ換装ボタン
  • 6.レンズ選択換装ボタン
  • 7.絞り設定
  • 8.シャッター速度設定
  • 9.焦点設定
  • 10.フレーミング設定系(ズーム設定+カメラの向き(上下左右))
  • 11.カメラ位置設定(上下、左右、前後)
それと最後に
  • 12.シャッターボタン
である。

一応、ユーザに、要求を聞いてみよう。
「遠隔操作できるカメラを作ろうとしてるのですが、カメラに何を望みますか?」
『綺麗に写せるカメラだったら何でもいいよ』
「え?それだけですか?」
『え?それ以外に何か要るんでしょうか?』
「要求仕様は“綺麗に写せるカメラ”ですか」
『ええ、“綺麗に写せるカメラ”です』
困った。要求はシンプルなのに、設計してるリモコンは超複雑だ。これでは使ってもらえそうにもない。

ところで、現在の高性能コンパクトデジタルカメラを遠隔操作しようとしたらどうなるだろうか。
  • 1.レンズキャップ付け外しボタンは要らない。代わりに電源ON/OFF(レンズカバーの開閉連動)操作のボタンを検討しなければいけないが、リモコンにタッチセンサーを付けるなどして操作不要にすることはできる。
  • 2.3.フィルム操作系は一切要らない。撮った映像データはサーバ等に自動転送することもできる。
  • 4.照度測定-絞り設定は自動化できる
  • 5.フラッシュ設定も自動化できる
  • 6.レンズは換装しない
  • 7.絞り設定も自動化できる
  • 8.シャッター速度設定も自動化できる
  • 9.焦点設定も自動化できる
  • 10.フレーミング設定系(ズーム設定+カメラの向き(上下左右))は要望があれば付ける。(省略する考え方もある)①
  • 11.カメラ位置設定(上下、左右、前後)は要望があれば付ける。(省略する考え方もある)②
  • 12.シャッターボタンは要望があれば付ける。(省略する考え方もある)③
ユーザに要望を聞くのも簡単だ
「カメラの向きや、ズームをコントロールしたいですか?」
「カメラの位置を動かしたいですか」
「シャッター切って静止画を撮りたいですか?それとも動画で撮りっぱなしがいいですか?」
ユーザが、それは一体何のこと?そんなことやって「綺麗に撮る」ことに意味あるの?(あとから要る所だけ切り出せば良いでしょ)と言えば、これらの操作系は要らない。

カメラでどういうものを撮りたいかがはっきりしていて、自分で操作したいという「写真のことを良く知っている(カメラに詳しいではない)」ユーザ向けでも操作は①~③までのわずか3つしか要らない。カメラの操作をこんなにシンプルにしたのは、カメラの技術が使いやすいよう進化したからだ。


リモコンの操作ボタンが少なくできるかどうかは、単にユーザデザインの問題だけではなく、ユーザの要望を如何に汲み取り実現できるかというシステム全体の問題でもあろう。

2012/03/27(火)名誉毀損喧伝を助長するシステム

話題の発端は
ある男性が、グーグルで自分の名前を打ち込むと、身に覚えのない犯罪行為を連想させる単語がサジェスト機能によって表示されるというのです。

男性は職場にいられなくなり、退職に追い込まれ、その後も採用を断られたりすることが続いているということです。
グーグル検索“人権侵害”の波紋
の話。
私は
サイト側のほうが悪いので、サイトを訴え続けるほうが正しいと思う。サジェストを消したところで被害者は救済されないので、あまり意味がないのでは・・・。
http://b.hatena.ne.jp/kensuu/20120325#bookmark-86755877

男性はグーグルに表示を止めるよう申し入れましたが、受け入れられなかったということで、男性は去年10月、東京地方裁判所に表示の削除を求める仮処分を申請しました。
そして、裁判所はこの申請を認め、表示の削除を命じる決定を出したのです。
http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/0326.html
で済ますでなく、グーグルもその構造を変えるべきではないかと思う

が、その方向性が未だ見出せない。
http://twitter.com/akof/status/184500917557661696
というツイッターでの呟きまでが私の前フリ。


小飼 弾さんも、
そろそろGoogleは、みずからに科したこの呪文を発展的に解消すべきなのではないか。
不都合な検索結果 - I'm feeling unlucky
と言うに留まり、具体的な解決方向までは示せていない様子。

ここでは、問題の構造を整理しなおしておくことにしよう。

ウィキペディアにしてもはてなキーワードにしても、グーグルサジェスチョンにしても類似する構造と論理があって、かつては
「自組織」が編集したのではなく、不特定多数の手によって創られるコンテンツが集積されてるだけだから、そこに名誉毀損的内容が現れても自組織の責任ではない
という立場でいられた。

しかし、自動集積の特性を知って、
不特定多数になりすませば、特定の名誉毀損的内容を意図どおりにシステムに掲載させられる
という事実が知られてしまい、その自動集積ツール自体を名用毀損的内容の喧伝ツールとして使われるようになれば、「名誉毀損的内容とシステムとは無関係」という主張はもはや通じないようになると考えてよいだろう。

既にウィキペディアは「名誉毀損的内容」が掲載されにくいよう、改善を試みている(相当に人海戦術的ではあるようだが、一定成果は挙げていて、責任回避はできる程度に見える)

はてなとグーグルは今のところ知らぬ存ぜぬを通すつもりらしい。
この先、会社の決算に影響しかねないほどの高額賠償の敗訴を食らうのが先か、自身を改める方向を見出すのが先か、私は注目したい。

2012/03/21(水)割れ窓と笑い

割れ窓理論はちょっと・・。元論文読んだ?実際の治安に変化はないが、市民が、治安が「良くなったと感じる」からホームレスを排除しよう。っていう論文だぜ、あれ。
http://twitter.com/IZUMI162i6/status/182318701851320320
意識の上で「割れ窓」の存在を考え、それの対処を考えてる人が、注目している「割れ窓」そのものの価値を否定する話をされると、不愉快に感じるだろう。人によっては激怒するし、不謹慎だと非難する人もあるだろう。いずれにしても、それまでの視点を変えて、違う価値観での考え方に取り組む人は極めて少ないだろう。
  • 人を居なくする
  • 窓をなくす
  • 窓を(投石等が)届かないようにする
  • 窓を割った者の追跡性を100%にする
  • 窓を割れない材質に変える
  • 窓が割れても直ちに修復されるようにする
  • 窓を割るより悪いことを窓を割るより実行されにくい状況を作る
……これが「割れ窓理論のことを考える」こと。
http://twitter.com/akof/status/109451599457419264

社会秩序の信頼度を高めることを意識上のものとして、割れ窓理論を考えている人に、「人を居なくする」の解を示す。うまくすれば、笑わせられる。そして、自分のそれまでの狭い視野について改善を試みようとする人も多少は現れることがある。考えているテーマに関して、無意識的な前提となっているところを否定すると、(うまい具合にやれば、)虚をつかれて笑いに繋がることがある。


人の生死に関わる問題に対して、狭量な視点から「ルール」を標榜しようとしている人に、「そのルールは本質的な効果はないのでは?」と指摘すると、憤激し、不謹慎レッテルを貼ろうとするだけで、考え方を変えることはあまりない。しかし「人の生死」から考えの荷重が「ルールの徹底」に移って、「人の生」が無意識的な前提になった時に、「いっぱい殺せばそのルール徹底されるよね」という具合に虚を突くことができると、「笑い」を呼び起こし、そして視点を変える切っ掛けとすることができる場合もある。

「ワシントンD.C.のホワイトハウスの前で『くたばれ、レーガン!』って叫んでも罰せられないのと全く同じように、モスクワの赤の広場の前で 『くたばれ、レーガン!』って叫んでも罰せられません。」
日本の公序良俗とやらで見るとどうなんだろ。あるいは、「割れ窓」なんだろうか。
http://twitter.com/akof/status/3821129052
「くたばれ、レーガン」と効果的に叫んでみようか。レーガン元大統領の警護を要請する業務を強いられたとして、威力業務妨害に問われるだろう。

2012/03/21(水)3つの間違い

参照用に便利そうなテンプレートなので、ここに転載しておく
  • 1.自分(達)が被害・不利益を被っているか否かの判断を誤る。
  • 2.被害・不利益を被っていると認知した場合に見出す「問題点」を誤る
  • 3.見出した「問題点」に対して有効な「対策・対応」を誤る
この3つのどこかで間違って、物事が良い方向に改善されることは殆ど無い。
3つの間違い点
  • 1.自分達の被害ではなく、自分達だったら被害だと思うだろうというとんでもない妄想に義憤を感じ
  • 2.その「被害」の原因を、因果関係のない人や物事に無理矢理に押し付け
  • 3.その行為や物事の抑制よりも他への悪影響の方が甚大な手法をとって、無意味な報復の連鎖を引き起こす
3つの具体例
……という考え自体が、間違い。(4つ目)
http://www.facebook.com/ako.fujiwaka/posts/302043449861034

2012/03/14(水)「真実」と「嘘」の狭間

敬愛するふっしーさん(藤野英人さん)の 「時事通信と共同通信が正反対の「事実」を報道。東電OL殺人事件のDNA鑑定の報道から、マスコミやソーシャルメディアの「情報」との接し方を学ぶ」という記事に、本ブログを紹介いただいた。恐縮しきりだ。

まだブロガーを名乗れるほどのコンテンツはないが、これから充実させていきたいというところ。


さて、本ブログをご紹介いただいた記事の後半に興味深いパズルが掲載されている。一応正面から取り組むと、一例としてこういう思考過程が可能だろうか。

① (仮定Ⅰ)Bが白と仮定する⇒②「 Bのみが白でACDEが赤」が真実⇒③ 赤のACDは嘘を言っているはず⇒④ Aからみて「白が一人で赤が3人だ」は真実でありAは嘘をいっていない⇒⑤ ③④は矛盾しており仮定Ⅰ(B白)は正しくない

①' Bは赤⇒②' ACDEの1人以上が白⇒③' (仮定Ⅱ)Cを白と仮定⇒④' Cの「4人とも赤だ」は真実⇒⑤' Cが白でABDEが赤⇒⑥' Aからみて「白が一人で赤が3人だ」は真実でありAは嘘をいっていない⇒⑦' 真実を言うAは白⇒⑧' ⑤'⑦'は矛盾しており仮定Ⅱ(C白)は正しくない

③'' Cは赤⇒④'' BCが赤なのに「白が3人で赤が1人だ」と言うDは嘘⇒⑤'' (BC)Dは赤⇒⑥''(仮定Ⅲ)Eが赤と仮定⇒⑦'' Aからみて「白が一人で赤が3人だ」は嘘なのでAは赤⇒⑧'' 全員が赤⇒⑨'' Cの「4人とも赤だ」は真実になり、Cは白⇒⑩'' ⑧''⑨''は矛盾しており仮定Ⅲ(E赤)は正しくない

⑥''' Eが白(①'B赤、③''C赤、⑤''D赤)⇒⑦''' Aの「白が一人で赤が3人だ」は真実なのでAは白⇒⑧''' AEが白(本当の事を言う)、BCDが赤(嘘を言う)で与えられた問題内容に矛盾しない

これでふっしーさんのいう、「答えは2のAとEです」に辿り着ける。

しかし、この問題文をよくよく見ると、実は「白の帽子を被っている人は本当の事を言う」という条件は書かれていない。また選択肢に示された人物以外が白の帽子を被ってないとする条件も無い。

そこで、問題文に書かれてはいない暗黙条件を外して改めて考え直してみる。すると答えは一意には定まらず、
  • ACDが白、BEが赤のような場合、「1. A,Cが白」は成立
  • BCが白、ADEが赤のような場合、「3. B,Cが白」は成立
  • BDが白、ACEが赤のような場合、「4. B,Dが白」は成立
  • DEが白、ABCが赤のような場合、「5. D,Eが白」は成立
となると思う。

ふっしーさん(@fu4)の「答えは2のAとEです」は確かに嘘ではない。
が、他には答えがないとも言ってない。

「真実」と「嘘」の間に、多くの「答え」がある。

2012/03/13(火)お気軽に嘘報道

時事通信:受刑者のDNA型検出されず=検察独自の追加鑑定で-東電OL殺害

東京高検が独自に行っていた27点の物証のDNA型鑑定の結果、ゴビンダ・プラサド・マイナリ受刑者(45)や、別人の「第三者」のものと特定できるDNA型は、いずれも検出されなかったことが12日、関係者への取材で分かった。同日、東京高裁と弁護団に鑑定結果が開示された。
共同通信:受刑者のDNA型検出か 東電社員殺害の追加鑑定

東京高検が物証27点を独自にDNA鑑定した結果、被害女性の手に付着していた微物から受刑者と一致するとみられるDNA型が検出されたことが12日、検察関係者への取材で分かった。
 関係者によると、27点は女性の手や着衣の微物など。検察関係者は「事件当日に、受刑者と被害者が接触した可能性を強めるもの」と説明。今後、あらためて有罪は揺るがないと主張する
時事と共同のどちらかが「嘘」を報道してるわけだが、嘘が判明しても、メディアも検察も誰かのクビがとぶわけでもない。ツイッターのRTやフェイスブックの「笑ったらシェア」と何ら変わらない無責任さで垂れ流してると言える。


追記
産経:東電OL殺害、受刑者DNA型と矛盾せず 高検が独自鑑定開示

東京高検は12日、独自に進めていた物証27点の追加鑑定の中間結果を弁護側に開示した。関係者によると、被害者の手の付着物から、~受刑者=無期懲役が確定=のDNA型と矛盾しない結果が検出されたという。

 これまでの鑑定で、~受刑者の着衣などを除き受刑者と断定できるDNA型は検出されていない。今回の結果は検察側に有利となる可能性があり、高検は慎重に分析するとみられる
役人言語による玉虫色の表現だが、良識あるまっとうな日本語に訳せば「受刑者のDNA型はまだ検出されてない」になる。

2012/03/12(月)結城浩「数学ガール/ゲーデルの不完全性定理」

結城浩「数学ガール/ゲーデルの不完全性定理」

著者の 結城浩さんが2009年に脱稿された際に、「ものすごく楽しみにしています」などと私は言っている。
『数学ガール/ゲーデルの不完全性定理』脱稿:なぬ~!?それは面白そう。大学一回生の時に無謀にも基礎数学の勉強会にチャレンジし、自分の能力を思い知ったからなぁ
12:21 AM - 24 Aug 09
大学に入りたての頃、不確定性理論を理解したくて、基礎数学にチャレンジしましたが全く理解できず、ゲーデルには全く辿り着くことなく諦めました。結城さんの本がどのようにこれを取り扱っているのかものすごく楽しみにしています。
9:22 PM - 13 Sep 09
しかしながら、その時からゆうに2年半、某所から本を借りて積んでから半年、漸く読み始めたのだ。一つには学生の頃に基礎数学がまるきり理解できず、自分の数学の理解能力のなさを思い知らされた体験から恐怖心が先にたっていたこともある。実際今回も読み進めて話がゲーデルの証明の核心に近づくにつれ、読み進める速度は牛歩の如く遅くなっていた。

だが兎にも角にもその証明を、(理解したとは言えないが)トレースして最後まで辿り着くことができた。登頂した喜びというか、むしろ敗北の呪縛を解かれてほっとしたというのが一番近い感想だ。誰にでも理解できるように平易に噛み砕いて説明してくださった結城さんの手ほどきに感謝したい。

私がつまづくような場面では、登場人物の女の子たちユーリちゃんやテトラちゃん、それに「僕」が、いつもその疑問を代弁してくれ、そしてそれに対して「僕」やミルカさんの説明がなされていた。こうした助けのない厳格な数学書であれば、とても読み進めることはできなかったろう。

この本はゲーデルの不完全性定理を「ちゃんと知りたい」数学知識欲旺盛な全ての人に開かれた内容になっている。ゲーデルの証明に入る前に、様々な数学体系知識の下準備が、緻密に構成されて読者に示されており、それを辿っていけばゲーデルの不完全性定理の理解に必要な前提知識はほぼ揃う。

また同時に、数学が好きな「僕」と3人の女の子たちの人間関係、息遣いが見事に描かれていて、甘酸っぱい中高生の気持ちを思い起こさせる。とってつけたような「萌え」ではなく、数学に取り組む若人の素直な気持ちが、実に自然に表現されている。これら登場人物の立ち居振る舞いが、1行1行読み進める難しさに音を上げたい気持ちになった時に、読み進める勇気を思い起こさせてくれる。この数学解説のストーリーと、人物描写のストーリーの絡めかたが実に巧い。

女の子(達)が高尚な内容を説いてくれる内容だといっても、この本が「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」のように200万部も一気に売れることは決してなかろう。が、数学に純粋に興味のある人々を真の意味で育て、長い年月読まれ続けることは間違いない。

2012/01/25(水)「全てのM7以上の地震を3日前に予知できる方法」は役立つ地震予報の十分条件か?

こんな地震予知をする人、尾上氏(仮名)がいたとしよう。
尾上氏は、特定の地域、糖嬌(仮名)について、いつも「今年の五月三十五日にM7以上の地震が起きる」といったような具体的な地震情報を明らかにする。そして、過去10年意渡って、糖嬌で実際に起きたM7地震全てについて3日前にその予知を正確に述べていたという実績がある。そして、最終的に予報を外したことは1度もないという。
尾上氏のこの素晴らしい地震予知は、地震防災に役立つだろうか?
尾上氏の地震予知情報はこんな具合に明らかにされる。「今年の五月三十五日にM7以上の地震が起きる」の情報は四月の終わり、あるいはもっと前に、初めて示される。しかし、この予知は確定情報ではないのだ。

「五月三十五日にM7以上地震」の情報が明らかにされた後、五月三十五日が迫ってくるある日ある時、「五月三十五日にM7以上地震」は取り消される事がある。状況が変わったので、五月三十五日には地震は起こらなくなってしまったと。
それでも、五月三十五日の3日前、即ち五月三十二日の段階で尾上氏の地震予知情報がどうなっているかさえ確認すれば良いと考えるかもしれない。しかし、実は、尾上氏の地震予知システムでは3日前に予知は確定してない。どういうことか。
尾上氏は、五月三十四日になって「五月三十五日にM7以上地震」が取り消す事がある。それどころか、五月三十五日当日の24時寸前にだって取り消す事があるのだ。

五月三十五日に実際にM7以上地震が起こってしまった場合には、振り返ってその3日前、すなわち五月三十二日時点での予報がどうだったかを確認してみると、確かにいつも「M7以上地震があるとの予報」になっている。

尾上氏は、多数の地震発生予報を出す。それらの予報を並べてみると、ほぼ毎日地震が起こるかのような予報が出ているのだ。そしてそのほとんど全ての予報はその日が来る前に取り消される。
だからといって尾上氏の予報は、決してインチキだということではない。十分科学的で、そして予報として成り立っている意義有る情報なのだ。

地震が起こると予報しなかった日について、実際に地震は起きてない。地震が起こるとした日についても、早々に予報を取り消した場合にも、地震は起きてない。つまり、地震が起きないことについて、極めて的確に予報している。
ところで、尾上氏はこうした予報を出すに留まらなかった。

尾上氏は、「実際に起きたM7地震全てについて3日前にその予知を正確に述べていたという実績」を挙げながら、地震発生予想日の3日になると、必ず「住民を糖嬌から遠くはなれた場所に避難させななさい」と、自治体や住民にきわめて強く働きかける。

そうした働きかけを受けた当初は、尾上氏の勧告どおり、住民は避難した。が、地震予報は取り消され、そして地震は起こらない、という結果になった。何度か無駄に避難したところで、行政も住民も気付いた。尾上氏の予報と避難勧告は「狼少年」の一形態にしか過ぎないことを。
狼少年の「狼情報」は全てが嘘というわけではない。いつかは本当の情報のことがある。しかし、狼少年の「狼情報」を傾聴しても、それがいつ本当なのかは結局分らないのだ。有用な情報はそこにはない。それと同様、尾上氏の地震予想は科学的に正しいにもかかわらず、やはり有用ではない。
尾上氏の避難勧告は、単なる迷惑行為でしかない。住民達は、尾上氏に、地震予報と避難勧告を住民に向けて発信するのは止めて欲しいと強く申し入れた。

尾上氏は、科学的に正しい情報を発信しているにも関わらず、その情報発信を弾圧されたと怒っているそうだ。

2011/03/01(火)大作商事株式会社 輸入・販売の小径タイヤの折りたたみ自転車a-bike(初期型)の主要フレーム破断

a-bikeの輸入・総代理店 大作商事株式会社に送ったメール
broken_a-bike.JPG


大作商事a-bike担当様
藤若亜子です

御社より購入したa-bikeを所有する藤若亜子と申します。シリアルナンバーは*******です
a-bikeに乗っておりましたところ、致命的と思われる重要な部位が破損しましたので、ご報告のためメールをさせていただきました。御社にとって調査なさるのが良いと思われる事項なので、破損パーツを送付させていただくなどのご相談をさせていただきたいと思っております。

<略>

今回私の保有していますa-bikeについて、後輪や駆動系システムを収める樹脂製Boxの後部が割れ、主フレームパイプから脱落する状態に破損しました。平地の舗装路をごく普通に走行している最中に、いきなり駆動部が後ろへ抜け、車体全体が下に沈みましたが、幸い速度が出ていなかったこともあって、怪我には至りませんでした。<略>

あらためてマニュアル確認させていただきましたが、御社は、この部位の破損の重大な危険性についてユーザに何ら告知されていませんし、この部位の点検の方法もメンテナンスの必要性も一切説明なさっていないと思います。従って、この部位の破損によって乗員に怪我があった場合にはPL法にも抵触しうる内容です。これらの状況は、何らかの対策がなされるか、ないしは国民生活センターなどの公的機関の手などによってユーザが情報共有しなければ、ユーザの生命に危害が及ぶ可能性が極めて高く、同時に御社にとっても深刻な事態と思われました。そこでまずなにより責任当事者である御社にまずご相談しようと考えた次第です。

破壊部位について添付の写真で示していますが、若干の補足説明をします。車体後部の黒い樹脂部分が大きく欠けています。写真では樹脂パーツは主フレームのアルミパイプとの場所に収まっていますが、なんら固定・接合されているわけではありません。横に回収できた破片を置いていますが、事故時刻が夜間だったこともあり回収できなかった部位もあります。

これらの部位はトラブル前に何かにぶつけたりしたことはありません。(頻繁なパンクに懲りたこともあり、)凹凸の激しい道路(例えば踏切など)は降車して通りますので、過剰な衝撃や振動を与えてはいません。わたくしの体重は現在○○kgで過荷重ということはありません。多くのパーツを交換してきていますが、改造はしておらず、通常の使用をしてきました。

もしも御社がこの事故について調査するようでしたら、ご協力したいと思います。調査に現物が必要ということであれば、ご指示ください。

<略>

以上よろしくご対応ください。
藤若亜子

メールした翌朝には、サポート部門の役職にある人から電話がかかってきた。しっかり調査したいので、本体の送付を私に依頼する内容だった。私のメールがかなり厳しい口調だったので(上の引用では不穏当な部分を省略している)、当初はクレーマーかと恐れていらっしゃった節もあるが、こちらからのお願い(要求)は「調査してユーザにその情報が共有されること」だけであることを伝えたところ、意図は伝わった様子だった。非常に丁寧な応対であり、また何より真摯にこの破損問題について取り組もうという姿勢が感じられた。

その週末に早速破損したa-bike本体をお送りして、破損について調査いただいた。以後、情況に進展がある度に丁寧な電話報告を頂戴した。日本の代理店である大作商事で調査したところ、今までに無い破損事例であり、また破損原因がこれということは分からないとのことだった。そして英国の開発元でも調査したいとらしく、開発元に転送されることになった。開発元でも、世界中に出荷した中で全く類例のない破損であるとのことだった。

結局、代理店と開発元で調査しても、「○○だから、破損した」という因果関係のようなものを見出すことはできなかったが、このような破損が、正常使用していても起こりうるという認識に至ったようだ。そして今後の対応としては、マニュアルにこの破損リスクに対応できるような注意を何か加えるような方向で検討するということだった。

最終的には、私が望んだように、この危険な破損可能性について何らかの情報共有がなされるということであるし、また私に黙っていて欲しいという雰囲気でもなさそうだ。そこで、マニュアル修正に先んじて、先にリスク情報だけでも共有してよかろうと判断して、ここに公開する次第だ。

(その破損したa-bikeは、開発元に行ったきりなので、大作商事さんのご好意で、新しいa-bike plusを送っていただいた。私が毎日乗ると言うので、約半年おきの検査・メンテナンスをご提案くださった。折角そういう話ならば、徒に改造などせずに手入れだけしっかりして乗り続けてみようと思っている)